菊池行政書士事務所 菊池一夫

遺言作成後の様々なケース

子供や甥姪又は知人などに財産を与える遺言を作成したが、その後関係が悪化し、遺言内容を改めたい場合には、その遺言を撤回することが可能です。遺言は複数通ある場合、矛盾する部分については後の日に書いたものが有効なものになります。自筆証書遺言の場合には、後に書いたものの存在が発見されないケースも考えられます。また、前に書いた遺言を受遺者に渡している場合もあるでしょうから、撤回は公正証書遺言によって行い、新たな公正証書遺言を作成されるほうがよろしいでしょう。遺言書の保管方法には細心の注意を払ってください。

遺言作成後の様々なケース

  • 遺言を作成したが、自分より先に受遺者が死亡?
  • 受遺者が遺言者より先に死亡している場合には、その部分の遺言は無効となります。夫婦間の遺言で、「夫の財産は全て妻に」、「妻の財産は全て夫に」と双方でそれぞれ作成することがよくあります。上記のケースでは、どちらか一方の遺言が執行されるとき、他方の遺言は無効となります。無効にはなりますが、遺言作成時には当然分からないことですので、意味のないものではありません。もし配偶者亡き後に相続(遺贈)したい人が決まっていれば、「配偶者が遺言者より先に死亡している場合には、○○に」と指定することも可能です。

  • 相続人が遺言の存在を隠したら?
  • 自分に不利な遺言を見つけ、その遺言を隠したり捨てたりした場合には、その相続人は相続人の地位から廃除されます。それだけではなく懲役刑に処せられる可能性があります。
    公正証書遺言は役所に原本が保管されていますから、遺言の存在を知っていれば、相続人は謄本の交付を請求できます。自筆証書遺言は遺言者本人が原本の保管管理の方法を注意しなければなりません。

  • 遺留分は遺言作成時にはわからない?
  • 全ての財産を相続人以外の第三者に遺贈する遺言内容であっても相続人には遺留分という権利があります(但し法定相続人である兄弟姉妹に遺留分はありません)。
    遺留分は相続人が直系尊属(父母や祖父母)のみの場合は財産の1/3、それ以外は財産の1/2になります。
    遺留分は家庭裁判所に遺留分減殺請求を行わないと行使されません。よって遺留分を侵害している遺言書も請求がなければそのまま有効なものとして扱われます。
    また、相続人と相続財産は遺言者が死亡した時点で確定されますので、遺言書を作成する時点ではまだ推定の状態です。遺留分を考慮した遺言書を作成した後に、推定する相続人の増減や財産が大きく増加した場合などには再度遺留分を考慮した遺言書を作り直すことをお勧めします。

  • 遺言に記載した財産は使えない?
  • 遺言を書いても現在の自分の預貯金を使うこと、不動産の売買等は自由です。財産の確定は本人が亡くなった時点のものとなります。

  • 借金などのマイナス財産が遺言書に記載?
  • 負債について遺言書に記載があっても受遺者及び債権者に効力が及ぶものではありません。負債は遺言書の記載に関係なく、原則として法定相続分に応じて相続人が返済することになります。


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