菊池行政書士事務所 菊池一夫

遺言の種類と作成方法

いざ遺言を作成しようと思っても、"どうすればいいのか?"、"自分にできるのか?"と不安を持つ方も多いと思います。
一般的に遺言は、自分で作成する「自筆証書遺言」と公証人が作成する「公正証書遺言」があります。どちらの遺言も、作成は難しいものではありません。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は費用もかからず、いつでもどこでも1人で作成することができます。要件さえ整っていれば、どのような紙に記入しても特に問題はありません。ただし、自分1人で作成し誰にも遺言の存在を伝えていない場合、遺言を誰も見つけることができないケースも考えられます。また、"本当に本人が書いたのか?"、"本人の意思なのか?"このような疑念から紛争にいたることも珍しくありません。
記載内容に不備はないか、遺言の保管方法や誰に伝えるかについて慎重に考える必要があります。

  • (要件)
  • ・遺言者本人の直筆である(財産目録については、パソコンでの作成文書、通帳のコピー等に署名押印すれば、直筆でなくてもよい)
  • ・作成年月日、名前の記入と押印がある
  • (遺言書に記載する用語例)
  • ・・・・に相続させる。
  •     遺言により推定相続人に財産を与える場合に記載します。
  • ・・・・に遺贈する。
  •     推定相続人以外の人へ遺言にて財産を与える場合に記載します。


遺言を執行(遺言の内容を実現すること)するには家庭裁判所での検認(※1)が必要となります。

公正証書遺言

公正証書遺言は費用がかかりますが、公証人(※2)証人(※3)2人以上立会いのもと本人確認を行い、本人の意思に基づいて作成します。原本は公証役場に保管されますので、確実に遺言を残したい方には「公正証書遺言」をお勧めします。

  • (摘要)
  • ・遺言者の口述に従い公証人が遺言書を作成する
  • ・遺言書に氏名の記入と押印をする
  • ・公証人と証人2人以上の立会いが必要である
  • ・財産と受遺者(※4)人数に応じた費用が必要である
  • ・検認の必要がない

傷病等の事情により、字を書くことができない場合でも、誰に何を譲りたいのかを明確に意思表示できれば、署名は公証人に代筆してもらうことができます。話すことができない場合でも、筆談により自分の意思を記すことができれば、公正証書遺言を作成することができます。
また一般的に、公正証書遺言は遺言者本人が公証役場に行って作成しますが、事情により公証役場へ行くことができない場合には、公証人に出張を依頼することも可能です。ただし出張を依頼できる公証人は、出張する場所(居所や病院等)と同一都道府県の公証役場の公証人に限ります。

  • (※1)
  • 検認・・・遺言書の形式の調査や確認することです。
    遺言を預かっている者若しくは発見した者は、遺言者が死亡したことを知った後、遅滞なく家庭裁判所に検認の申立をしなければなりません。手続きは遺言者の最後の住所を管轄する家庭裁判所にて行います。封印のある遺言については、相続人立会いの上開封することとなっています。遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本と住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本と住民票、申立人の戸籍謄本と住民票が必要です。後日、相続人全員に検認の立ち合い通知が届きます。相続人全員がそろわない場合でも検認は行われます。検認が終了すると自筆証書遺言に検認済証明書が付けられます。自筆証書遺言は、裁判所の検認済証明書がついていなければ、執行することができません。
  • (※2)
  • 公証人 ・・・法律実務経験者の中から、法務大臣が任命する法務局所属の公務員で、公証役場で執務しています。公正証書遺言はこの公証人のみが作成できます。なお、公証役場は全国の都道府県に存在し、約300箇所あります。
  • (※3)
  • 証人 ・・・遺言を作成する手続きは公証人と遺言者のやり取りで行います。証人はそのやり取りが正確に行われているかどうかを確認し、公正証書遺言の原本に記名押印します。遺言の内容について意見を述べることはできません。証人は、未成年者・推定される相続人・遺言の受遺者及びその配偶者等はなることができません。
  • (※4)
  • 受遺者・・・遺言書で財産を譲り受ける人



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