思いやりの生前整理

最近では、終活として取り組んでおきたいことの1つとして、「生前整理」が話題になっています。この生前整理はなぜ必要なのでしょうか?また、どんなタイミングで行うのがいいのでしょうか? ここでは、生前整理の必要性と始めるタイミング、取り組んでおきたいことをご紹介いたします。

生前整理を始めるタイミングは?

生前整理とは、自分の亡き後、家族に迷惑をかけないため、また、その後の人生を快適で安全に過ごすために、自分の持ち物を整理しておくことです。必要なモノ、不要なモノを判断しながら片付けていく作業なので、生前整理は気力と体力が必要になります。"生前"というネーミングから、高齢の方が行うものと思われがちですが、生前整理は、体力的にも元気なうちに行うのが一番です。夫婦だけの生活になると、必要なモノは以前よりも減ります。そのため、子どもの結婚や独立で夫婦2人だけの生活が始まるときが、生前整理を始めるよいタイミングです。部屋の気になる部分から少しずつ、整理を始めてみましょう。

生前整理の必要性

では、どうして生前整理が必要なのでしょうか? 家族が亡き後は、亡くなった人の持ち物を整理する必要があります。これを遺品整理といいますが、一つひとつのモノには、亡くなった人の思い出が残っています。その思い出と向き合いながら、モノを片付けるのは大変な作業です。楽しかった思い出、悲しかった思い出、後悔する想い…。次々とあふれてくる想いを受け止めながら、モノを処分しなければなりません。そのため、大事な思い出の詰まったモノを処分することが、いけないことのように感じてしまう場合もあります。また、残されたモノが多ければ多いほど、片付けるには体力が必要です。このように、遺品整理は遺された家族に対し、体力的にもメンタル的にも、つらい想いをさせるかもしれません。「家族には迷惑をかけたくない。」そんな想いから取り組む生前整理は、大切な家族に対する思いやりの作業なのです。


要介護になるのを防ぐ生前整理

生前整理は、モノの整理だけでなく、介護予防にもなる作業です。モノを床に置くことが多い方は、すぐにやめましょう。なぜなら、置いてあるモノにつまずいてケガをするかもしれないからです。高齢者が足にケガをすると、場合によっては歩けなくなり、要介護状態になってしまうかもしれません。そのためにも、高齢になる前に、床にモノを置くクセをなくしておきましょう。また、高いところにモノを収納している場合も注意が必要です。イスに乗ってモノを取り出すとき、誤って転倒する恐れがあります。これもケガの原因です。ひどいときは要介護状態になるかもしれません。高齢者にとってケガの原因となるのは、床に置いてあるモノと、高いところに収納してあるモノです。要介護になって家族に迷惑をかけないためにも、元気なうちにモノを片付けておきましょう。


整理しておくのはモノだけではない

生前整理でモノを整理しておくのは大切な作業です。けれどもそれだけではなく、遺される家族のために整理しておきたいものがもう1つあります。それは、人間関係の整理です。万が一のとき、自分が亡くなったことを知らせてほしい友人がいると思います。けれども、生前に何も聞かされていなかった場合、家族はどこに連絡をしていいのかわかりません。そのためにも、自分が亡き後、誰に連絡をしてほしいのかをはっきりさせて、連絡先をわかりやすくまとめておくのです。それには、住所録が活用できます。年賀状や手紙のやりとりをする友人を住所録にまとめておき、自分が亡き後知らせてほしい人にしるしをつけておく。これだけの作業で、家族が困惑することなく、大事な人たちに自分の訃報を知らせることができるのです。

家族に対する思いやりの生前整理。これは高齢者になってから行うのではなく、体力的にも元気なうちに行うのがベストです。これからの人生を安全で快適に過ごすためにも、生活に必要なモノ、大切なモノだけを残して、持ち物を整理しておきましょう。また、今後も大切にしていきたい人たちのことを考えて、人間関係を整理しておくのも忘れないでくださいね。



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