人生の締めくくりは
どこで暮らしますか?

これからの人生をよりよく生きるために、エンディングノートをつくったり、葬儀やお墓のことを考えたりして、終活に取り組む方が増えています。終活は人生の終焉に意識が向いてしまいがちですが、"これからの生き方"を考えることも大切です。その中で「どこで暮らすか」も、ぜひ考えていただきたいと思います。そこで今回は、人生の締めくくりに暮らす場所を考えるポイントなどをお伝えいたします。

終の棲家をどうする?

「終の棲家」という言葉を聞いたことがあると思います。終の棲家とは、人生の最期を迎える時まで暮らす住まいのこと。住み慣れた家で、いつまでも元気に暮らしたいと願う方も多いのではないでしょうか。どんなに元気でいたいと願っても、年齢を重ねるごとに体力は衰えていき、判断力も鈍くなります。それに、介護を必要とする方も増えていきます。厚生労働省が平成26年7月に調査した「介護給付費実態調査月報」によると、80~84歳では29.6%、85歳以上になると59.6%の人が介護を必要としています。つまり、高齢になると、普段の生活で誰かの援助が必要になる可能性が高くなるということ。もしも自分に介護が必要になった場合、今の家で暮らしていても大丈夫か、あるいは、どこかに住み替えたほうがいいのか、ぜひ考えておきましょう。

高齢者の住まいと施設

高齢者の住まいには、さまざまな種類があります。ここでは、主な住宅や施設とその特徴をご紹介しましょう。

  • ◇サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
  • 都道府県から認可を受け、登録された賃貸住宅のこと。一般的に、高齢者は賃貸住宅を借りるのが難しいが、サ高住は契約しやすく、住みやすい。バリアフリーで安否確認など日常生活の支援は受けられるが、介護サービスは付いていないので、外部の介護事業者と契約する必要がある。重度の介護状態になったら、住み続けるのは難しい。

  • ◇シニア向け分譲マンション
  • 高齢者向けの設備が整っており、日常生活の支援があるため、高齢者が住みやすい。介護サービスは、外部の介護事業者と契約する必要がある。購入費用の他、毎月の管理費、修繕積立金が必要。分譲なので住まいは資産となり、将来的に売却したり、賃貸に出したりすることが可能。

  • ◇有料老人ホーム
  • 民間事業者が運営する施設で、高齢者向けの施設が充実している。要介護者でも利用できる「介護付有料老人ホーム」、軽度の要介護度でも利用できる「住宅型有料老人ホーム」、自立、要支援者向けの「健康型有料老人ホーム」の3種類に分けられる。住宅型、健康型の場合は、重度の要介護状態になると住み続けることができない。初期費用、月額費用は高め。

  • ◇特別養護老人ホーム
  • 平成27年4月の介護保険制度改正で、入所基準が原則として、介護の必要性が高い要介護3以上が対象となった。利用料が安く、長期入所が可能なので入所希望者は多い。そのため待機者が多く、なかなか入所できない問題がある。


人生の締めくくりに暮らす場所の考え方

人生の締めくくりをどこで暮らすかは、次のような視点で考えてみるとよいでしょう。

  • ○生活するのに便利な場所を選ぶ
  • スーパーや病院などが近く、生活するのに便利で、維持管理が楽という点から、郊外の戸建てから都心部のマンションに住み替えする方も多いようです。

  • ○受けたい介護サービスのある施設を選ぶ
  • 日常生活の見守りサービスや介護サービスなど、どのようなサービスが受けられるか、事前に確認しましょう。また、要介護状態が重くなったときは退所しなければいけない場合もあるので、注意が必要です。

  • ○高齢者向けの住まいを選ぶ
  • 賃貸ならサービス付き高齢者向け住宅が、分譲ならシニア向け分譲マンションが考えられます。どちらの場合も、高齢者にとって住みやすいところですが、介護が必要になった場合は、外部の介護業者と契約する必要がある点は留意しておきましょう。

  • ○介護状態によって、どのように住み替えるかを考える
  • 自宅で暮らす場合は、介護が必要になったときに介護保険サービスを利用することになります。ただ、一緒に暮らす家族の負担が大きくなるときは、介護施設への入所を考える必要があります。また、重度の介護状態に対応していないところの場合は、他の介護施設へ移ることも考えなければなりません。
    最初から要介護状態でも利用できる施設を選んで住み続けるか、要介護度が変わるごとに対応可能な施設へ移るか、介護サービスを活用しながら自宅に住み続けるか、ご自分の希望と家族の状況に適した方法を考えておきましょう。

いかがでしたか? いつまでも健康で暮らせるのが望ましいですが、将来、介護が必要になる可能性もあることを考えると、施設での暮らしも選択肢に入れて考えたい方もいらっしゃるでしょう。そんな方には、高齢者向けの施設や住宅をいくつか見学しておくことをおすすめします。施設はどんな雰囲気なのか、どんなサービスを受けられるのか、どれくらいの費用が必要なのかを事前に知っておくと安心です。また、施設を見学される際には、終末ケアや看取りにはどのような対応をしているのかを確認しておくとよいでしょう。自宅に住み続けることを希望される場合は、在宅での介護サービスにはどのようなものがあるかを確認しておきましょう。

このように、終活に取り組むときは、人生の締めくくりに暮らす場所のことも考えておくことをおすすめします。



▲ページTOPへ戻る


◀項目ページへ戻る