老後の生活費はどれくらい必要?

「老後資金にはどれくらいのお金が必要なんだろう?」 この話題は、雑誌などでよく取り上げられますね。具体的に「○千万円のお金が必要」という情報を目にすると、「そんなにたくさんのお金は準備できない!」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 老後の生活費は"絶対に○○円必要"と具体的な金額では言い表せません。なぜなら、人によって老後の過ごし方はさまざまだからです。いちばん良いのは、自分の暮らし方にあったお金を準備することです。ただ、老後の生活がどうなるか今の段階では予測できません。けれども、今の暮らしをベースに考えれば、だいたいの生活費を算出することはできます。
ここでは、おおよその老後資金の算出法と、生活費の見直し方法をご紹介いたします。

延びる老後の生活期間に備える

医療技術の進歩で、日本人の平均寿命は年々延びています。厚生労働省によると、平成25年の平均寿命は、男性が80.21歳、女性が86.61歳でした。寿命が延びるということは、老後の生活期間が長くなるということ。つまり、リタイアした後の生活期間が長くなるので、必要な生活費を今のうちからしっかりと準備しておかなければならないのです。

私たちには、老後の生活保障として公的年金、サラリーマンなら退職金などを得ることができます。けれども、公的年金などの給付額は今後見直される可能性があります。仮に基本的な生活は維持できたとしても、病気、事故、ケガ、介護などのリスクに備えることができなくなるかもしれません。 また、老後は生きがいを持って、自分らしく生きたいと願う人も多いでしょう。けれども、公的年金だけの生活では、ゆとりある生活を維持するのは難しくなるかもしれません。
ある日突然起こるかもしれないさまざまなリスクに備えながら、自分らしく生きる。そんな生活を望むには、今のうちから老後資金の準備を始める必要があるのです。

老後資金を算出してみよう

夫婦で、おおよその老後資金はどれくらい必要になるのか考えてみましょう。ベースとなるのは、現役時代における月間の生活費です。では、夫が定年になった65歳のとき(妻は64歳)を例に、次の手順で算出してみましょう。

  • (1)夫婦2人での生活費を求めます。
  • 現役時代の月間生活費×70%×12カ月×夫の65歳での平均余命(平成25年の男性は19.08歳)
  • (2)妻が1人になってからの生活費を求めます。
  • 現役時代の月間生活費×50%×12カ月×夫が84歳で死亡時の妻(83歳)の平均余命(平成25年の女性は9.45歳)
  • (3)住宅ローン、住宅のリフォーム資金、管理費・修繕費(マンション住まいの場合)、家賃(賃貸の場合)、医療費、レジャー費、子どもの結婚援助金、子どもの教育費など、基本的な生活費以外で必要となる費用の合計を出します。
  • (1)・(2)・(3)で求めた金額の合計額が、夫が65歳以降に夫婦2人が生きていくために必要な老後資金です。
次に、老後資金として不足する金額を考えてみましょう。サラリーマンなら退職金が支給される見込みですね。また、夫も妻も公的年金を受け取ることができます。つまり、リタイア後は、ある程度の収入が見込まれるので、必要な老後資金から収入の合計を差し引いた分が不足する金額になります。

  • (a)夫の公的年金合計額
  • (b)妻の公的年金合計額
  • (c)退職金など
  • (d)預貯金

  • 老後資金の不足額=夫婦2人が生きていくのに必要な老後資金の金額
             -{(a)+(b)+(c)+(d)}

  • ※公的年金の額は、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」、もしくは日本年金機構サイトの「ねんきんネット」で確認できます。

ここで算出した「老後資金の不足額」は、今のうちから貯蓄などで準備しておく必要があります。もしくは、生活費を見直して、月間生活費を下げるのもひとつの方法です。

今すぐ生活費を見直そう

生活費の見直しをするとき、まず考えたいのは固定費です。家計でいう固定費とは、保険料、住居費、通信費、教育費、車両費などのことです。食費などのように、月によって支払う金額が変わりやすい変動費は、見直しをしても減らせる金額はそれほど大きくはなりません。けれども、毎月決まった金額を支払う固定費を見直せば、月々の出ていくお金を確実に減らせるので、貯蓄にまわせるお金を殖やすことができます。固定費の見直しポイントは、以下のようになります。

  • ○保険料
  • 例えば生命保険の場合、子どもが独立するなど家族構成が変わると、必要保障額は少なくなります。子どもが学校に通っていた頃と同じ保険に加入している場合は、見直してみるとよいでしょう。

  • ○住居費
  • 住宅ローンを組んでいる場合、より金利の低いものに借り換えたり、繰り上げ返済を検討したりするのもよいでしょう。

  • ○通信費
  • 携帯電話の通信費は、利用できる割引サービスやプランをチェックしてみましょう。また、スマホの場合、利用の仕方によっては格安スマホがオトクになる場合もあります。

  • ○教育費
  • ここで考えたいのは、習い事です。なんとなくおつきあいで続けているものは見直しましょう。また、オンライン英会話や自治体が主催する教室など、受講費が比較的安いものをチェックしてみましょう。

  • ○車両費
  • 思い切って車を手放して、必要なときだけレンタカーやカーシェアリングを利用するのもひとつの考え方です。

老後資金のベースは、現役時代の生活費です。できれば、現役で働いているうちに生活費を見直して、将来的にゆとりのある家計を目指していきませんか? また、住居費や教育費など比較的多額なお金を必要としたり、家族構成が変わったりするタイミングは、家計を見直す絶好の機会です。生活費を見直す習慣ができれば、月々の支出がコンパクトになり、リタイア後の生活にもゆとりが出てきます。将来の暮らしを安心できるものにするために、生活費の見直しはすぐにでも取り組んでみてくださいね。

              (当コラムに掲載している情報は2015年5月時点のものです。)

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