介護が必要になったときの
バリアリフォーム

高齢になり、身体能力が衰えてくると、家の中の段差や床の状態によっては、危険を伴うことがあります。いくつになっても、住み慣れた家で安全・快適に過ごすためには、高齢者の基本的動作を助けるバリアリフォームは必要です。住んでいる家をバリアフリー化するために工事をする際、介護保険からリフォーム費用(住宅改修費)の補助があることをご存じですか?
ここでは、介護保険からの給付が受けられるバリアリフォームについて、ご紹介いたします。

介護保険から支給される住宅改修費

介護保険制度で要支援・要介護認定を受けた方が、自宅でバリアリフォームを行った際、かかった住宅改修費の一定金額が介護保険から支給されます。
その詳細は、下記の通りです。

◇支給対象者
要支援1.・2、要介護1~5の認定を受けていて、自宅にて生活をしている方

◇支給額
バリアリフォームにかかった費用の9割が介護保険から支給され、1割を自己負担します。ただし、支給対象となる工事費用は、最高20万円(税込)までとなります。
なお、平成27年8月1日からは、一定以上の所得(※)の方は、最高20万円までの工事費のうち、支給となるのは住宅改修費の8割となります。

例えば、要介護2のAさんが、自宅を20万円でバリアフリー化するための工事を行った場合、支給額と自己負担額は以下のようになります。

  • (通常)
  • ・介護保険から支給される金額・・・18万円
  • ・自己負担分・・・2万円

  • (一定以上の所得がある場合)
  • ・介護保険から支給される金額・・・16万円
  • ・自己負担分・・・4万円

※一定以上の所得とは?
単身で合計所得が160万円以上(年金のみの収入は280万円以上)の人。
ただし、年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身で280万円未満、夫婦で346万円未満の場合は対象外です。

原則として介護保険からの給付は、受給者1人につき1回に限ります。
ただし、要介護度が悪化して3段階上がった場合や転居の場合は、再給付を受けることができます。

また、介護保険からの支給対象となるバリアリフォーム工事は、以下のように決まっています。

◇支給対象となる工事
  • 1)手すりの取り付け
  • (トイレ、浴室、玄関、廊下などでの転倒の防止や、移動の補助となるもの)
  • 2)段差の解消
  • (敷居を低くする、スロープの取り付け、浴室の床のかさ上げなど)
  • 3)滑り防止、移動の円滑化のための床材の変更
  • (滑りにくいものへの変更など)
  • 4)引き戸などへの扉の取り替え
  • (扉の取り替え、ドアノブの変更、戸車の設置など)
  • 5)洋式便器等への取り替え
  • (和式便器から洋式便器への変更)

  • また、1)~5)の工事をする際に必要な住宅の改修


住宅改修費の支給に必要な手続きとは?

介護保険から住宅改修費の支給を受けるには、次の点が必須事項となります。

  • ・要介護認定を受けていること
  • ・事前申請をすること
  • ・工事前・工事後の写真を撮影すること

住宅改修費の支給を受けるための手続き方法は、以下の通りです。

  • 【1】要介護認定を受ける
  • 要介護認定を受けていないと住宅改修費の支給は受けられません。要介護認定は、役所の介護保険担当の窓口、もしくは、お住まいの地域を担当する地域包括支援センターに相談しましょう。
  • 【2】ケアマネージャーに手続きの相談をする
  • 住宅改修費の支給を受ける際は、事前に、要介護者はケアマネージャーなどに、要支援者は地域包括支援センターに「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらう必要があります。
  • 【3】市区町村の介護保険担当窓口で事前申請をする
  • 事前申請に必要な書類は、以下の通りです。
    介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費支給申請書、住宅改修が必要な理由書、工事費見積書、日付入りの改修前写真、改修前の図面など。
    ※詳しくは申請する役所で確認してください。
  • 【4】工事の着工
  • 工事の申請が承認されると、「結果通知書」「完了報告書」が届きます。
  • 【5】工事の完了・支払い
  • 忘れず、改修後の写真を撮影しましょう。
    工事費の支払いには、以下の2通りの方法があります。
  • ①償還払い
  • いったん全額を施工業者に支払うが、所定の手続きの後、9割(上限18万円、一定所得以上の場合は16万円)が指定口座に振り込まれる。
  • ②受領委任払い
  • 登録された業者を利用した場合、業者に支払うのは自己負担分のみ。介護保険からの給付分は自治体から直接支払われる。
  • 【6】住宅改修工事の完了報告をする
  • 下記の必要書類を提出します。 完了報告書、領収書、工事費内訳書、改修後の写真など。
    ※詳しくは申請する役所で確認してください。
  • 【7】住宅改修費の支給
  • 住宅改修費はこのような一連の手続きの後、支給されます。手続きに必要な改修前の写真撮影は忘れないようにしましょう。手続きなどで、わからないことがあれば、ケアマネージャーか地域包括支援センターに相談してください。

今回は、バリアリフォーム工事を行った場合の、介護保険からの住宅改修費の支給についてお伝えしました。バリアリフォームに対しては、自治体によっては独自の助成を設けているところがあります。お住まいの地域で実施されている助成はないか、自治体のホームページや役所で確認するといいでしょう。
このように、高齢者の安全な生活のために必要なバリアフリー化には助成があることを覚えておいてくださいね。

               (当コラムに掲載している情報は2015年5月時点のものです。)



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