相続税についての基礎知識

相続税については、テレビや雑誌の特集でたびたび取り上げられますね。亡くなった人が持っていた財産を相続すると相続税がかかることは何となく知っていても、詳しい内容までは難しくてわからないという方もいらっしゃると思います。
そこで、ここでは相続税の基礎知識についてご紹介いたします。

相続税の基礎知識

人が亡くなると、その時点から相続が発生します。相続税は、相続(財産を相続できるのは法定相続人のみ)と遺贈(遺言によって財産を法定相続人以外の人に贈与すること)によって亡くなった人の財産を受け継いだ人に発生します。
※相続や遺贈のほかに、亡くなった人から死亡前3年以内に贈与された財産と、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産も相続税の対象となります。

  • ◇法定相続人とは?
  • 法定相続人は、配偶者、子(子が亡くなっている場合は孫)、父母(父母が亡くなっている場合は祖父母)、兄弟姉妹となります。
    法定相続人の相続順位と法定相続分(財産の配分)は、以下のように定められています。
  • ○配偶者
  • ・常に相続人となります。
  • ○子
  • ・相続順位は第1位
  • ・配分は、配偶者:2分の1、子:2分の1(子の人数で分配する)
  • ○父母
  • ・相続順位は第2位(子や孫がいない場合に相続できる)
  • ・配分は、配偶者:3分の2、父母:3分の1
  • ○兄弟姉妹
  • ・相続順位は第3位(子、孫、父母、祖父母がいない場合に相続できる)
  • ・配分は、配偶者:4分の3、兄弟姉妹:4分の1

相続する財産にはさまざまなものがありますが、その中には"相続税のかかるもの"と"相続税のかからないもの"があることをご存じですか?
  • ◇相続税のかかるもの
  • 現金、預貯金、有価証券、宝石、貴金属、土地、家屋、ゴルフ会員権、自動車、骨董品、書画、美術品、特許権、著作権など
  • ◇相続税のかからないもの
  • 墓、仏壇、神棚、国や地方公共団体など公益法人に寄付した財産、一般的な常識の範囲内での弔慰金や花輪代、死亡保険金の一部(500万円×法定相続人の数)、死亡退職金の一部(500万円×法定相続人の数)

相続税のかかる財産でも、すべてが相続税の対象になるわけではありません。葬儀費用、借入金、亡くなった後に立替払いした未払いの税金や医療費などは、相続財産から差し引くことができます(これを債務控除といいます)。また、相続財産からは、定められた額を差し引くことができます。この差し引く額のことを「遺産に係る基礎控除額」といいます。

【遺産に係る基礎控除額 = 3,000万円+600万円×法定相続人の数】

つまり、相続税のかかる財産の総額が遺産に係る基礎控除額を超える場合は、相続税が発生することになるのです。

相続税の税額控除

相続税のかかる財産の総額からは、遺産に係る基礎控除額を差し引くことができるとお伝えしました。けれども、基礎控除額のほかにも控除できるものがあります。相続税を計算する際は、下記のような税額控除も認められています。

  • ◇配偶者の税額軽減
  • 配偶者は法定相続分の金額、または、1億6千万円のどちらか大きい金額までは相続税がかかりません。(内縁関係は除きます)
  • ◇未成年者控除
  • 相続する人が未成年の場合は、20歳に達するまでの年数1年につき10万円が控除されます。
  • ◇障害者控除
  • 相続する人が障害者の場合、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)が控除されます。
  • ◇相次相続控除
  • 10年以内に二度相続が発生した場合は、2回目の相続時に、1回目に納めた相続税の一定金額が控除されます。
  • ◇外国税額控除
  • 外国にある財産を取得した場合、外国で相続税に相当する税を支払ったときには、その税額に相当する金額が控除されます。
  • ◇暦年課税分の贈与税額控除
  • 相続開始前3年以内に亡くなった人から贈与された財産は相続財産に加えますが、贈与税を支払っているときは、その贈与税額は相続税額から控除されます。
  • ◇相続時精算課税分の贈与税相当額
  • 相続時にそれまでの贈与財産は相続財産と合算しますが、すでに支払った相続時精算課税にかかる贈与税額は相続税額から控除されます。このとき控除しきれなかった贈与税額は還付されます。

いかがでしたか?相続税の基礎知識として、相続税のかかる財産や遺産に係る基礎控除額、税額控除についてお伝えしました。最近の傾向として、相続税の課税対象者は以前よりも増加するといわれています。それは、平成27年1月1日より遺産に係る基礎控除額が引き下げられたからです。以前の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でした。 当時は相続税の課税対象者は少なく、平成24年では全体の4.2%のみでした。

けれども基礎控除額が引き下げられたことで、都心部など地価の高い地域に土地を持つ人などは、相続税の課税対象者になる可能性が出てきました。
そんな状況から、突然の納税で困らないために、事前に相続税対策をしておくことをおすすめします。手始めに、相続財産がどれくらいになるか見積っておき、相続税が課税されるかどうかを確認しておきましょう。相続税の概算は、国税庁のホームページなどで確認できますし、相続税のシミュレーションができるサイトもありますので、利用するとよいでしょう。また、詳しく相続税について知りたい方は、専門家に相談されることをおすすめします。

                (当コラムに掲載している情報は2015年5月時点のものです。)



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