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拝見! レトロ年賀状コレクション

[第4回]
早くも明治から!?
写真で遊んだ年賀状コレクション!

知る人ぞ知る年賀状博士・高尾均さんの貴重なレトロ年賀状コレクションから、“これは!” というものを選りすぐってご紹介してきた本連載も今回で最終回。最後は、今見ても遊び心のある「写真合成」された年賀状を高尾さんのコレクションの中からご紹介!

PROFILE

高尾均年賀マーケティングアドバイザー

1949年生まれ。京都にて長年、印刷業を営んだのち、国内トップの年賀状印刷メーカーに勤務するなど35年以上、年賀状ビジネスにかかわる。年賀状イノベーション研究会のメンバー。

明治の粋人は“歌会始”のお題をビジュアル化!

さて、いよいよ最終回となった「レトロ年賀状コレクション」だが、高尾さんが上の写真で手にしているのは、連載初回でご紹介した明治15(1882)年の江崎写真館が差し出した年賀状だ。この写真館の年賀状が、実はイラストがあしらわれるようになったもっとも古い例というのが面白いとご紹介したのだが、ご記憶だろうか?

というわけで、写真館ですら明治時代にはまだ、写真入りの年賀状ではなかったのだが、高尾さんのコレクションで写真入りのもっとも古い例をさぐると、なんと明治40(1907)年に個人の方が出したものが残っている。しかも、松と干支の羊が写った写真に、自身の写真を合成していたりして驚かされる。

明治40(1907)年の年賀状。コレクションの中では、写真入りでもっとも古い物。「この年の歌会始(第3回参照)のお題、新年松をビジュアル化しているんです。写真に俳句を添えて、アルファベットで名前も入れて──おしゃれですよね」(高尾)。

写真で遊ぼう! 独特の世界観が楽しい力作!!

時は一気に進んで昭和30(1955)年、コレクションの中から本格的な写真合成した年賀状を発見! 家族の写真を針金入りモールのようなものでアレンジしたフィギュアにして、「A HAPPY NEW YEAR」の文字などとともに独特の楽しい世界観にまとめられている。

この方の年賀状は、翌年のものもコレクションされていて、こちらもなかなかの力作だが、パソコンが普及してくるのは80年代以降のこと。当然、まだPhotoshopなどというアプリケーションもなく、これはジオラマの要領でプリント写真を実際に切り貼りしたものを撮影したようだ。それがどこか、不思議なリアリティというか、独特の世界観の表現につながっているように感じられる。あえて今の時代にチャレンジしてみるのも面白いかも!?

左が昭和30(1955)年、右が翌昭和31(1956)年のもの。「リアルPhotoshopですよね(笑)。A HAPPY NEW YEARの文字はクッキーでしょうか? もう販売できるレベルです」(高尾)。

上が昭和30(1955)年、下が翌昭和31(1956)年のもの。「リアルPhotoshopですよね(笑)。A HAPPY NEW YEARの文字はクッキーでしょうか? もう販売できるレベルです」(高尾)。

こちらは年賀状作成ソフト『筆まめ』の最新版にて、デザイン編集機能「初笑い年賀状工房」で作った「スクラップブック年賀状」の例。こんな風に、逆にパソコンでどこかアナログ感のある雰囲気を演出してみるのもアリ!

年賀状博士・高尾さんのコレクションでレトロ年賀をあれこれ振り返ってきた本連載、お楽しみいただけただろうか? この連載がまた、百年後の年賀状コレクションを賑わすことにつながってくれればと願いながら──さあ、2017年の年賀状はどうする?

文/クエストルーム

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