ホーム>筆まめでぃあ>年賀状・はがきの美しい宛名の書き方>[第2回]区切りどころに悩む長~い住所編 シェアツイート

書道家が指南! 年賀状・はがきの美しい宛名の書き方

[第2回]
区切りどころに悩む長~い住所編

年賀状作成ソフト『筆まめ』は、業界に先駆けて宛名面の美しさにこだわってきたことはご存じだろうか? なんとプロの書道家に監修を依頼し、自動でキレイに仕上げる「美麗レイアウト」機能を実現しているのだ。本連載では、その書道家 神林富石先生に指南を請い、「美麗レイアウト」に仕上げるためのポイントを解説いただく。第2回は、住所や建物の名前などがかなり長い場合の注意点を指南!

PROFILE

神林富石書道家

多摩美大卒。グラフィックデザイナーとして活躍後、1986年より篆書体の書作家に。謙愼書道会理事も務めた。2006年の『筆まめVer.17』より宛名面を監修。

“京都式”住所の恐怖……二行で収まらない長〜い住所

ご存じのとおり、京都市内には2種類の住所表記が存在する。1つは一般的な住所表記だが、もう1つは碁盤の目に区画が整備されている京都ならではのもので、南北に走る通りを「上ル」「下ル」、東西に走る筋を「西入ル」「東入ル」というように表記して示す“京都式”と呼ばれるものだ。いまでも、住所を示すときには京都式を用いるのがむしろ一般的で慣れればわかりやすいのだが、郵便物への宛名書きとなると、これが住所だけで30文字を超えることもざらでけっこうな労力を費やす。

いや、ことは労力だけの問題ではなく、実際に書いてみるとやはりバランスを取るのがかなり難しい。通常の住所なら建物名を入れてもだいたい二行で収まるが、三行にわたってしまうのだ。京都だけでなく、「大字」「字」がつくような山村や、都心部でも長いマンション名など、同じようなケースはよくありそうだ。

住所は、なんとか三行で収まったが、やっぱり前回の先生に指摘いただいたメリハリが……ない。

住所は、なんとか三行で収まったが、やっぱり前回の先生に指摘いただいたメリハリが……ない。

上のはがきを先生に添削いただいた。赤字は先生による指摘ポイント。「住所を改行する場合は、切っていいところとダメなところがあります」(神林先生)。

住所の改行位置を注意すればメリハリも付いてくる

前回も少し指摘があったポイントだが、「住所を改行する場合は、どこで区切るかに注意が必要です」と神林先生。「市町村区など、区切りのいいところで改行しましょう」とのこと。そのうえでさらに、「三行になる場合は、一行ごとに一文字ずつ書き出し位置を下げれば、階段状になって見やすくなりますよ」ということで、見本を書いていただいた。
なるほど! 区切りどころ次第で住所も見やすくなるし、住所を階段状に下げて書くことで、比較して宛名が上がって見えてメリハリがついている。「番地やマンションの部屋番号など三桁以上の数字は、算用数字で書いても、最近は一般的なので失礼に当たりません」ということで、その部分で住所表記がタテに長くなりすぎることを抑えているのもポイントだ。「宛先・宛名・差出人の"かたまり"を意識してみてください」とのことで、結果、3つのブロックのメリハリが出て美しい仕上がりになった。

こちらが神林先生に書いていただいた模範例。「マンションの部屋番号は、タワーマンションだと四桁になることもありますが、算用数字での表記がおすすめです」。

『筆まめ』最新版での作例。「パソコンなら小さな文字で印刷できるので漢数字でも収まりがいいですね」と神林先生。ちなみに、漢数字や「様」など、同じ字が並ぶときに一文字ずつ書体を変えてニュアンスをつけるという細かい仕事ぶり!

次回は、宛名に肩書きを付ける場合はどのように書けばいいのか? ビジネスシーンでも役立つ宛名書きのコツを指南いただく!

文/クエストルーム

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[第1回]バランスが難しいシンプルな宛名編